担当コンサルタント:山田 亮
ある商品の企画製造会社からのご相談です。商品自体が画期的で非常に優秀なものでしたので、その商品力で売上を伸ばし、年商30億ほどだったと思います。
社長をはじめ社員のみなさんは、とにかく研究や実験、開発が大好き。組織人というよりは、研究者のような方の集まりです。業績自体に問題はなかったので、役員レベルですら経営に関する議論など、これまでありませんでした。
ただ社長は、経営をしっかりしたいという思いはあったようです。とはいえ、具体的にどうすればよいかわからないまま日常の業務に追われ、つい開発にいってしまう。「いずれは100億企業にならなければ」という問題意識を抱いて、サイエスにご相談いただきました。
企業診断でわかったことは、経営方針に関して議論するベースが、社内にできていないということです。3年、5年というスパンで事業展開を考えず、「こんなことができたら」といった壮大な「夢」になってしまう。そこを社長が現実的にリードしていかなければならないのですが、社長の思いが一番強く、独自に動いて作りたいものを作る、といった状況でした。
本来ならば、商品開発というのは役員会議や企画会議で決めるべきものです。開発の方向性に問題はないか、投資額は適切かどうか。こうした視点を話し合わなければ、組織として成り立ちません。
まずは、「こういう事案の場合は誰がどういう手法を取り、意思決定をする」といった、組織運用の基準作りから始まりました。
事業構想については、ニッチな傾向のある商品をより一般化させていくために、商品プロデュース、ブランディングといった複数の事業にわけました。続いてアクションプランを策定し、それを個人のアクションプランへと落としていくのですが、ここで素晴らしいプランが出てきたんです。
もともと「自分はこの商品開発をやりたいから、やっている」というモチベーションの高い人たちですから、そういう人間集団ですから計画を作ると、レベルの高いものができるのは当然なのかもしれません。計画を作るためだけに項目を埋めるという人は、中身のない、サラッとしたものになりますからね。
これには社長も驚いたようです。多少の内容修正はありましたが、「これはいい!」と。管理職の方も、マネジメントの大切さを理解していただけたのではないでしょうか。
マネジメントをしっかりすれば、素晴らしいアイデアも生かされ、より強固な経営にしていくことができます。将来が非常に楽しみな会社ですね。