担当コンサルタント:山田 亮
サイエスのセミナーを受けられ、「100億企業」という言葉に興味を持たれた会社と、お付き合いをさせていただきました。
地方の製造業で50年の社歴を持ち、社員は約150名。バイタリティとパワー溢れる社長は、拡大志向が強く、社員全員のお尻を叩いて「売上」を唱えるような方です。社員は、エアコンの温度を下げることさえ、社長に確認していました。
組織に関しては、幹部は10名ほどでしたが、必要な機能から組織を作るのではなく、部長だから組織を作る、といった状態。人に組織がついているんです。ある部門に所属する全員の肩書きが部長だったり、逆に自分の上司が誰かわからない社員もいました。
組織が機能しておらず、下請け体質の会社は「売上を上げたい」「どうやって?」「寝ないで頑張る」といった思考にいってしまいがちです。
そこでまずはサイエスが考えた事業構想をベースに議論しながら、徐々に明確にすることにしました。
とはいえ、これまでマネジメントという概念がなかったわけですから大変です。
当初、社長は「なんだか難しいことやっているけど、これは本当に売上を伸ばすことにつながるのか?」と懐疑的でした。サイエスには何か素晴らしい仕組みがあって、それを取り入れれば一気に100億に近づけると思われていたのかもしれません。どちらかというと、想像していたものと違う、面倒くさい作業に映ったのでしょう。
ですが、その面倒くさい部分にこそ、我々は手をつけていくんです。このような体質の会社で、今までと違うやり方を内部の人間が提唱して実行するのは難しいと思います。
現場で働く社員は、日々お客様と直接話をしていますから、これからの時代、単に安くしても将来がないというのは、薄々感じていたようでした。幹部も共感はしてくださるのですが、それでも社長の顔色を伺っています。
そんななかで、中期計画を進めるための組織図、アクションプランの策定へとステップを進めていきました。
社員の方たちは、この時点で「出来た」という達成感がありますが、その内容や意義に対して腑に落ちているわけではありません。それを理解していただくには、毎月の計画の進捗を追っていくしかないんです。
計画の実効性を常に意識付けてもらい、「やれていない」ことも自覚していただく。最初は計画どおりやっているかどうかに注力しますが、実行することが当たり前になってくると、今度は「もっとこうするべきだ」という、発展的な意見が出てくるようになります。これはすごく大きな成長だと思いますね。
社長も、こういったプロセスを受けて業績が上がると、「なるほど。こういうことも必要なんだな」と納得されたようでした。
最近は、「普通に働いて、普通の金額がもらえればいい」という価値観を持つ社会人が増えてきました。情熱だけでは人は動きませんし、モチベーションも上がらない時代なんです。
そんななかで、社員のモチベーションを上げていくには、質の向上や、何のために働くのか、といった点が非常に大切になってくると思います。